■第51回土曜講座 開催報告

・開催日時:平成29年2月18日(土)14:00〜16:00
・開催場所:8号館7階 8702教室
【講演題目】
 第1部:世界の中の日本企業
講師 板垣博(武蔵大学経済学部教授)

 明日からラオスへ出張という多忙なスケジュールの中、講師をお引き受けいくださった。日本企業の主な進出先の現地調査を20数年にわたって続けた中で、日本企業の優れた点は何か、何が課題か、特にアメリカと比較しながらお話しくださった。
 アメリカは、経営トップ層は強い権限と高度な専門知識があり高所得であるが、ミドル層以下の仕事は標準化されているので、人が入れ替わっても機能する仕組みになっている。標準化された仕事はアウトソーイングしやすいので、普通の人々の職が失われている。日本の企業は、アメリカに比べ、権限や報酬の格差が小さい。「普通の人々」が経営や組織運営に参加する仕組みを作り上げている。したがって、現場の力が強いのが日本企業の特徴と言える。短期間では代替が難しい普通の人々の中に蓄積された知識や技術が重要となってくる。
 こうした現場主義が、問題を発見し、絶え間ない改善を生み出す力となっている。日本の企業が国際間競争力を持つ分野に共通した特徴は、企業同士の長期にわたる連携によって、切磋琢磨し、高い品質や機能を持つ製品やサービスが開発され生産されているということである。その一方で、現場主義的問題解決の「負」の側面は、突然の大きな環境変化への対応の弱さや、相手の要望にきめ細かく応えるあまり、長時間労働を生み出してしまうということがあげられる。
 トップダウンが苦手な日本人は、オープンに議論したほうがいい。企業の中で通じる言葉を多用する傾向にあるのは良くない。部外者にも通じる言葉、普遍的な言葉を使うべき。日本語はいいけれど、日本人語は使わないようにしよう。世界のどこに行ってもきちんと「普通の人」として自分の能力を発揮し、その社会に貢献し、生き生きと生活できる人材が求められるのだから。

 第2部:外から見た日本
講師 山口和夫(第20回経済学部卒 元三井物産株式会社 駐中国副総代表)

 長年海外で仕事をしてきた山口さん、近ごろは中学生などに話をする機会も増えたそうで、良く通る聴きやすい声で爽やかにお話しくださった。
 外国人から見た日本の印象は、「清潔である」「安全、安心である」忘れ物が出てきたり、夜間外出できるのは外国人には奇跡に感じられる。「便利」「迅速」歩き方だけではなく宅配便なども。
 外国人から見た日本人の特徴は、・用心深い(周囲の空気を気にしすぎる)・目立つことを嫌がる・自立心が低い・他人から嫌われることを嫌がる・へりくだる傾向が強い・自分で責任をもって行動することをストレスと感じてしまう・まじめすぎる。更に3Sといって「sleep関心が薄いと寝たふりをする」「silent主張がない。何を考えているかわからない」「smile意味のない笑い、わかったふりをする」経営者の視点からいうと、失敗を恐れて「待ち」の姿勢が強いことがあげられる。逆に、・約束は守り、言葉に責任を持つ・地道にやり遂げる・嘘をついたりだましたりしない・努力、向上心を持っているということも特徴として挙げられる。
国際人をめざすための心構えとしては、
 ・人間として基本的なこと(嘘をつかない、人に迷惑をかけない)を忘れてはいけない
 ・努力と向上心を持つこと
  ⇒情熱(好奇心)×能力×基本的なことをする=良い人間
   掛け算なので、嘘をついたらゼロになることを忘れずに。
 ・世界を見る目で日本を見る
 ・違いを積極的に活用し学ぶ(意見交換を通じ自分も成長する)
 ・目標に向かってスピード感をもって取り組む
 このように国際人とは、「よりよい社会の創造に自らが主体的に関わり、自らの学びを常に継続し続ける人」のことである。良い人生とは、「感動の数が多いこと」「自分の人生は自分でプロヂュースする」「ENJOY YOUR LIFE」(LIFEの中に“if” がある)
 脳生理学的にみると、28歳が記憶力のピークで徐々に記憶力は落ちていくが、60歳からは必要な情報だけを取り込むようになり本質が見えてくる。したがって文化と教養を支えることができるのは、脳が最も活性化する58歳から88歳なのだと、少々平均年齢が高い聴講者に対するエールで締めくくった。

(報告者:村松真貴子、28回人文)