■古橋先生を囲む会(第9回)開催報告

・開催日時:平成28年5月21日(土)15:00〜17:00
・開催場所:8601教室
・参加人数:12名

 武蔵大学大学院在籍の小橋龍人さんによる、詩人、土井晩翠の短歌に関する発表。

 土井晩翠は「荒城の月」の作詞者で、明治から大正、昭和初期にかけて活躍し、史実に題をとり漢詩的要素を盛り込んだ、瞑想的抒情詩で一世を風靡しました。その晩翠が唯一残した短歌集『晩翠歌抄』に着目し、その表現の特徴と作品の位置付けを考察。それによると『晩翠歌抄』は整然とした部立て(目次立て・構成)、詞書(短歌のまえがき)と典拠を示す注の多用、死産であった娘「光子」の霊歌を含むなどの特徴があります。


 また、晩翠は新聞取材に「歌への気概」を語るなど、歌への愛着と自信を示しているものの、『晩翠歌抄』を読む限り、晩翠にとっての本流は「詩」であり、「短歌」はもてあそびの要素の強い詩形ではなかったか。そして作品としては「古めかしい情操によって詠みなされている」のではないかという論考がなされました。

 古橋先生から、作品を読む際に「時代の中に作品を置いてみる、すなわち歴史化する視点」の大切さが示されたほか、参加者からは「霊歌」の意味・位置付けに対する質問、私的要素の強い歌集が出版され公にされた意味についてのコメントなど、学究的テーマにもかかわらず、興味深い討論が行われました。終了後は懇親会が開かれ、発表を離れて幅広い文学談義で盛り上がりました。


 次回開催は12月17日(土)15時から8601教室の予定です。

(報告者:佐藤 達也、34回日文)

 

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