■高木 道カさん(25回欧米)

 真っ黒に焼けた顔と腕、それはスキーやスノボーのせいではない。もちろん、ヨットやサーフィンのやりすぎが原因でもない。シーズンを問わず、荒波打ち寄せる岩場に立っているせいなのだ。
 武蔵大学人文学部欧米学科を卒業してから30年の月日が経つ。ランボォやブルトンに憧れてフランス文学を専攻し、アルコールとジャズとシュールレアリズムを友に、江古田の街で4年間を過ごした小生意気なブンガク青年は、お腹の出っ張りと薄くなりはじめた頭髪を気にする釣り好き親父に変貌した。いや、釣りが好きというレベルははるかに超えている。なにしろ、1年365日のうち100日は釣りに出掛けているような生活を20年近くも続けていたのだから。
 在学中は大学院に進んで研究者の道を歩もうと考えたが、大学院浪人中の夏、研究者よりも雑文書きや編集者に向いているのではないかと思い、方向転換を決意した。小さな出版社を転々とし、30歳でフリーランスライターとなり、多くの雑誌や単行本の原稿を書く生活が続いた。内容は幼児教育からグルメ、アウトドアから旅行関係まで。およそフランス文学とは縁のない原稿ばかりである。結婚して海に近い神奈川県藤沢市に移り住み、なんとなく手近な遊びとして釣りをはじめ、ひょんなことから釣り雑誌にも原稿を書くようになった。

クロダイ 長崎県五島列島

 
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