■若手3落語家・講談師座談会

・日時:平成24年11月5日(月)
・場所:コートヤード・マリオット銀座東武ホテル 日本料理 銀座むらき
<出席者>
 落語家 三遊亭 好の助   植木 啓太 氏(53回経営)
 講談師 神 田 松之丞    古舘 克彦 氏(55回経営)
 講談師 一龍斎 貞 鏡    小村井靖世 氏(56回欧米)

 武蔵大学同窓会長       井上 隆裕 氏(14回経営)
       会報委員      白鳥 優子 (26回経営)
       会報委員・司会   広瀬 壮二郎 (28回経営)

同窓生3人座談会シリーズ第3段として、今号では落語・講談といった世界でご活躍中の3人の若手OBにご登場頂きます。「芸」の世界で逞しく生きる異色のOB・OG、その素顔に迫ります。

【司会】まずはそれぞれに、芸歴のご紹介と自己PRをお願いします。

【好の助】3か月のサラリーマン生活を経て入門してから早や7年、今寄席を中心に活動しています。隔月に森下の文化センターで独演会を開催しているほか、月前半の2〜3日は両国寄席に出ています。


【松之丞】師匠の命日を狙って門を叩いたのが5年前。実は、その日に行けば取ってもらえると思っただけなんですが、計算通り入門でき(笑)、前座期間を終え、今年の6月、二つ目に昇進しました。神保町の「落語カフェ」に定期的に出ているほか落語芸術協会の寄席や日本講談協会の定席に出ています。


【貞鏡】大学4年生の元旦に入門し4月1日から前座を務めました。何せ父も祖父も義理の祖父も講談師という環境に育ちましたから、なるべくしてなったと言えるのかもしれません。私も落語カフェに隔月で出ています。今年の2月に二つ目に昇進しました。父と一緒に親子会はずっとやっていますが、来年からは独演会もやっていこうと思っています。

 

【司会】それでは、この世界に入られたきっかけをお聞かせ下さい。

【貞鏡】講談師一家に育ったものの、最初から講談師を目指したわけではなく、父も寧ろ反対でした。大学も英米文化学科を選び、将来は英語を活かせる仕事につきたいと思っていました。20歳の時にカナダへ留学したのですが、帰国して改めて日本の文化に触れ、初めて親の講談を聞いた時に、何かひらめくものを感じたのだと思います。


【松之丞】私の場合、高校生の頃ラジオで落語を聞いてのめりこんだのがきっかけです。特に立川談志師匠が好きでした。どちらがいいかなと悩んだ挙句、講談師の道を選んだ訳です。


【司会】では就活といったことは?


【松之丞】全くなしです。始めから芸人になろうと思っていました。


【司会】親御さんの反対は?


【松之丞】ありませんでした。親は落語・講談とは全く縁のない世界の人間でしたが、知らないだけに却って反対できなかったのだと思います。

【司会】好の助さんはお父様が有名なマジシャンのナポレオンズのボナ植木さんですが、きっかけはやはりお父様の影響ですか?

【好の助】親が落語好きだったこともあり、落語には興味がありましたね。中学の頃から寄席に通うようになって、親の手品にも興味を持ったので「おれ手品をやるよ」と言ったら「お前には道具は渡さん」と言われちゃいました。「じゃあ無理かな」と思い、大学に進みました。ただ、就職活動もしたくなかったし、落語が好きだから「落語でもやるか」と思ったら、大学まで行ったのに、芸人になって苦労するなんて、という訳で反対されましたね。


【司会】それで就職した訳ですか?


【好の助】ええ、コーヒーに入れるミルクやシロップを販売する会社に入って営業をやっていたんですが、夜には演芸場に入り浸る生活でしたね。そもそもコーヒーは飲まない私に商品を売れる訳がないんですよ。


【松之丞】そんなこと入る前にわかっていたんじゃないんですか?


【好の助】そうそう、始めから受かるなんて思ってなかったわけ。どこにも就職できなかったら、さすがに親も諦めて、落語家の道を認めてくれると思ったんだね。そうしたら、何故か受かっちゃって(笑)。


【白鳥】就職に苦労している学生が多い中、羨ましい話ですね。


【好の助】結局3ヶ月で退職、晴れてこの道に入ることになりました。ま、作戦成功といったところですかね。


【白鳥】そもそも落語と講談とはどう違うんでしょうか?


【貞鏡】その質問、来ると思いました。この回答は勉強家の松之丞さんからじっくり説明してもらうことになっています。


【松之丞】落語と講談の違いを明確に答えられる人は未だ嘗ていないと言った方が正しいかもしれません。そのくらい境界線が曖昧で例外が多いんです。ただ例えば落語に出て来る泥棒は、ちょっと間抜けな泥棒ばかりですが、講談が取り上げる泥棒は、その時代一番の大泥棒や大の悪党なわけです。面白おかしく話が進んでいくのが落語で、大きな物語を語るのが講談といったところでしょうか。

 


左から 松之丞さん、好の助さん、貞鏡さん