〈特別寄稿〉 「自分の絵」   遊佐喜美男(4回経済)より

 私は画家ではない。正式には、今流行のイラストレーターと言うべきか。
今まで、出版社や新聞社、業界PR担当などから依頼を受け、作品を描いてきたが、これは相手方の注文があって商売が成立するのだが。この場合発注者の意図(またはそれに近い)に合わせようと意識が働き、作画者の納得とは相容れない作品ができあがったりする。
こうした作業が連日続けられると、やがてマンネリ化して作画者の本心とはかけ離れたイラストの世界へと引き込まれてしまいそうで、精神的な圧迫をなんとなく感じるようになる。
最近、と言ってもここ5,6年前からのことだが、ビジネスを脱して自分勝手な水彩画を制作し始めた。これが実にいい。もちろん正式な美術学校で学んだ技能ではないので、出来上がった作品は、なんとなくギクシャクした素人っぽいものになってしまったが、なんとものびのびした感じの良い作品にできあがっている。
やはり、本来の自分の絵というものは、あくまでも自分の意志と創造性を中心にして描いた方が、なんとなく納得できるような気がする。もちろん、こうした絵は売り物として描かれたものではないので、売り物にはならない。それでもいいと思う。歳も歳だし・・・。

補足:遊佐喜美男さんの東京の下町追想イラスト集「下町の紋様」「下町の紋様・続」が下町タイムス社から発刊されている。

※クリックで拡大
※クリックで拡大
※クリックで拡大
※クリックで拡大