■白雉の理想に生きる教師たち
〜四半世紀に出会った教師を志す学生たちの《いま》〜

武蔵大学名誉教授 黒澤 英典


 武蔵大学は教師養成を主とする大学ではない。しかし、1957(昭和32)年教師を養成する課程(教職課程)が設置され、すでに半世紀を超えている。当初は経済学部だけであったので、取得できる教員免許状は、中・高校の社会科、高校の商業科、中学校の職業科であった。その後、人文学部が創設されて、免許状も国語・外国語(英語・ドイツ語・フランス語)となった。この間、免許状を取得した人は、約3500名、現在教師として全国各地で教育実践に携わった人はおよそ650名程である。
 1993(平成5)年には、武蔵大学同窓会の一部門として、教職に就いて活躍している人を中心にした白雉育会が創設された。この会は、各種の教育機関に勤務する卒業生が、教育者としての使命を自覚して、自己の教養の向上に努め、教育者としての教職経験の交流をとおして、教師としての資質向上に努め、さらに、母校の発展に寄与することを目的とするものである。 その後、活動が休止状態であったが、2007(平成19)年3月に再編成され現在に至っている。初代の会長は、1961(昭和36)年卒業の樅山裕三氏が、就任して会の礎を創った。再編された最初の会長保積芳美氏(前・中野区立第3中学校長)、氏は在職中は全日本中学校『特別活動』研究会会長など歴任し、2009年4月から、武蔵大学教職課程において、教師を志す後輩の学生たちの指導にあたっている。現会長は、加藤隆太郎氏(多摩市立清陵中学校長)で白雉教育会の発展に多忙のなか全力を尽くしておられる。 武蔵大学出身の教師は、教育界でどのように評価されているか、気にかかるところであるが、私が、教育実習校などで学校訪問した折りによく聞く事であるが、武蔵大学卒業の教師に対しての評価は、「武蔵卒業の教師は、すぐには目立たないが、地味で数年たってから力を発揮して、指導力ある教師として活躍している」と。それは、まるでイブシ銀のような輝きを秘めている教師であると評価してくれた校長先生がいた。それでは、私の出会った《白雉の理想》に生きる教師たちを紹介したい。  

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