• 開催報告

第57回土曜講座

開催日時2019年2月16日(土)14:00~16:00
開催場所武蔵大学8号館7階8702教室

【第一部】14:10~15:00
講演題目:高齢化社会の課題と医療の最前線
講師:池田 康夫(医学博士)
学校法人根津育英会武蔵学園副理事長

【第二部】15:10~16:00
講演題目:これからのスポーツの役割
講師:森 健一(基礎教育センター准教授)

【第一部】高齢化社会の課題と医療の最前線
 医療・健康は最も関心ある事柄のひとつであり、練馬区からも多くの聴講者が来場した。
1.疾病構造の変化
高齢者の高齢者の抱える特徴は、①抱える病気が複数。②難治性疾患③QOL(quality of life)生活の質の低下の3点である。年齢別にみた死因としては60歳から80歳では、①癌②心筋梗塞③脳卒中④肺炎⑤不慮の事故である。1947年と2013年を較べると癌死が2.9倍、心筋梗塞は1.56倍と増加している。

2.百寿者から学ぶ健康寿命の延伸
2017年において、世界でも有数の長寿国となった日本が、健康寿命をいかに伸ばすかが課題。百歳を越える百寿者は全国で7万人弱(男性12%、女性88%)、温暖な地域に住み、食べ物の好き嫌いがなく、肥満しておらず、好奇心が旺盛、開放的な性格、認知症に掛かっていないといった報告があり、健康寿命の延伸のヒントになるかも知れない。

3.医療費増加の負担
医療費は2016年で42兆円、2025年には54兆円になるという。①薬剤開発費用の増大②医療費の高騰(国家財政負担)③高額医療費制度の見直し(患者負担)④薬価算定の適正化をどうするか真剣に検討して行く必要がある。

4.画期的新薬開発の問題点
医療費と同時に薬剤費についても考える必要がある。ノーベル医学賞受賞で話題となったオプジーボは、癌の治療に画期的な効果を示す一方で非常に高い薬価である。
画期的な新薬が高い薬価となるのは、①研究期間の長期化②研究開発費の増加③成功確率の低さ④新薬創出確率の低さがその背景にある。
以上池田先生のお話は大変興味深いものだった。

(報告者:西尾恵介 21回経済)

【第二部】これからのスポーツの役割
 最近「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりましたが、今回の講座は100歳まで元気に人生を謳歌しようとする面々で会場はほぼ満席でした。
世論調査によると、自分が「健康」だと思っていても「運動不足」だと考えている人はけっこう多いそうです。ショッキングなことに、20代の全く運動をしない人と40代の毎日運動をしている人の体力が同等とのこと。そうはいっても、普段スポーツをしていない人がいきなりスポーツを始めるのはなかなかハードルが高いものです。
健康維持のためにウォーキングをすることは効果的とのことですが、姿勢が大切とのことで、良い歩き方をレクチャーしてくださいました。
① 肩の力を抜いて腕をふる。
② 視線は20m~30m先を見る。
③ 背筋を伸ばす。
④ 腰を落とさない。
⑤ 膝を伸ばす。
⑥ つま先は進行方向に向ける(ガニ股や内股にならない)。
⑦ 踵から接地し母指球で蹴る。
たくさん注意することがあると難しく感じてしまいますが、簡単にできる方法を教えてくださいました。
「5cm先に足をつく」ことを意識するだけで、これらのことがいい感じにでき、ただ歩いているよりも運動量があがります。
毎日歩く15分ほどの道のりを、「5cm先」を意識して歩いてみました。帰宅するころには身体も温まって、ほどよく運動をした気持ちのよさを感じました。皆さんもぜひお試しください。

 (報告者:福島麗子 41回欧米)

※平成30年12月以前の開催報告は、旧サイトでご確認下さい。