古橋先生を囲む会第15回

開催日時2019年6月1日(土)15:00~17:00
開催場所1401教室
参加人数15名

この会は、歴史をリアルに捉え、歴史をつなぐきっかけとするため、地域史、家族・個人史の発表を重ねています。15回目となる今回の発表者は、日文38回卒の石井貢さんです。

石井さんの故郷は静岡県伊豆の国市北江間、生家はいちご栽培農家です。田園地帯に箱根山古墳群が点在し、石井家の所有地には前方後円墳があるなど、古代のロマンを漂わせています。

石井さんは、大きなかやぶき屋根の家に生まれました。炭のこたつや木桶の風呂に入った記憶など、幼少時の生活を描写しつつ地域や家族・個人の歴史を語ります。
高度経済成長期、サラリーマン家庭が増えたこともあるのでしょう、農家の子どもは、同級生からよくいじめられたそうです。その体験から、石井さんは「農家であることに劣等感を感じていた」そうですが、そんな気持ちを吹き飛ばし、元気に成長しました。大学に進んでからは、塾の講師などをしながら学費と生活費を工面し、古橋先生のもとで卒業論文を書き上げました。

元来、書くことが好きで、意見を世に問いたいときは新聞投稿を行い、何度も掲載された実績の持ち主です。
印象的なのは、お金にまつわるエピソードを投書した話です。病気で寝込んだ老齢の祖父が、帰省していた石井さんに、「今はこれしかねゃーだよ」と言って、渡してくれた500円札。石井さんはそれを使うことができず、今もお守りとして大切に持っているという話は、聴く者の胸を打ちました。

自分のおいたちと高度経済成長時代の出来事を重ねた発表は、日本の歩みを個人の立場から振り返る格好の素材でした。さらに、職場で起こったパワハラ事例を織り交ぜるなど、現代社会の課題にも切り込んだ、興味深い内容でした。

次回開催は12月7日(土)の予定。現在、参加申し込み受付中です。

(報告者:佐藤達也 34回日文)

※平成30年12月以前の開催報告は、旧サイトでご確認下さい。