武蔵学芸ネットワーク 第3回例会2021

開催日時 2021年2月13日(土)13:30~16:00
参加人数オンライン開催/23名(内学生5名)

「気がつけば35年 小さな公立博物館の現場から」
講 師:一般財団法人調布市武者小路実篤記念館首席学芸員
伊藤 陽子氏(1986年日本文化学科卒)

今回の例会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、Zoomを利用した「オンライン開催」で実施しました。

講師は、たくさんの写真や詳細な年表資料を提示しながら、武者小路実篤記念館の概要紹介と現在のコロナ禍における館の活動について丁寧に説明してくださいました。また武者小路(実は、「むしゃこうじ」とお読みするのだそうです)実篤の人柄をあらわすエピソードをまじえて、小説家、詩人、画家、書家としての活動や作品の解説、子煩悩な実篤の素顔についてなどをお話しいただきました。講師のなめらかな語りから、講師自身が実篤のよき理解者であることがたいへんよく伝わってきました。

それから講師は、「個人記念館の果たすべき役割」「常設展示を実施しない理由」「次代につなげるための館運営」といった35年間のご自身の実践に基づいた事例を示されました。とくに、館の生き残り戦略として「市民からだいじにしてもらえる努力をすることが、行政を動かしてゆく力となる」という講師の力づよい言葉が、参加者を深くうならせました。講師は「博物館が、家でも学校でもない、もう一つのお気に入りの場所になってもらえたら(もらえるよう努力する)。」との思いを語られて、70分間にわたる実直なご発表を結ばれました。その後、休憩をはさんで、参加者との自由討議を行いました。

このたびのご発表から、学芸員としての歩み、抱える様々な問題点とその解決策など、参加者それぞれが自分なりに感じ、考えるものがあったことと思います。またその内容についても、「働く」ことの意味や意義、人間形成の関わり合いという視点から、決して学芸員という職業だけの問題ではないと思いました。

今回初めてのオンライン開催ということで、卒業生、在学生、卒業生学芸員、元教員、学外の方や地方在住の方々に参加していただくことができました。また欠席された現役学芸員の方たちからも、コロナ禍で頑張っているというメッセージが寄せられました。

(報告者:澤井恵子 41回 日本文化)

※平成30年12月以前の開催報告は、旧サイトでご確認下さい。