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第68回武蔵大学土曜講座 開催報告

開催日時2024年11月30日(土) 14:00~16:00
開催場所8号館7階 8702教室

14:00〜15:00
「時代はeスポーツへ」
講師:黒川文雄氏((32回欧米)
(株)ジェミニエンターテインメント代表取締役

大学時代はフォークソング研究会でギターを担当、1984年の卒業と同時に音楽関係企業へ就職、その後映画配給会社を経て1993年セガ・エンタープライゼス(現在のセガ)へ転職し、その後も数社において約30年にわたり日本と世界のゲーム産業を渡り歩いてきた黒川文雄さん。その情熱と熱意は今も衰えること無く、オンラインゲームやスマートフォンアプリなどのコンテンツ開発のプロデュースやアドバイスをされています。
今回の講演では、メカ式のゲームに始まり、1970年代のスペースインベーダーの登場、1980年代以降はファミコンやプレイステーションが爆発的にヒットする一方、アーケードゲームでは画像、振動、音などがよりリアルに体感できるゲームが生まれ、近年はeスポーツ、バーチャルリアリティー、スマホゲームアプリに至る多種多様なゲームへと変遷する業界の潮流と今後のゲーム産業の方向性を話していただきました。
2023年の統計では、国内のゲーム市場規模は金額で2兆円超、ゲーム人口は約5400万人とされていますが、特にオンラインプラットフォーム上で行われるゲームアプリの利用者は約4000万人となっており、スマートフォンにアプリを入れることで常に生活の中でゲームを楽しめる時代となっているとのことです。ゲームコンテンツの品質も向上し、例えば粗いドットで表されていたスーパーマリオがCGで表現されるといった、よりリアリティーを持つようになってきています。
一方、日本を代表する産業であったゲーム産業が海外のコンテンツ制作技術向上により追い上げられているのに加え、世界のeスポーツの規模は日本のそれをはるかに凌ぐ規模となっていて、日本では制限がかけられている賞金が海外では桁違いの金額になっているなど、かつては日本がリードしていたゲーム産業が海外から置いてきぼり(ガラパゴス化)となっている現状などを解説していただきました。
eスポーツの方向性としては、暴力をイメージさせる格闘ゲームなどは、オリンピック種目としては相応しくないと思われるので、ゲームとリアルの境界線が無くなるような競技がオリンピック種目として採用されるのではないか、また、ゲーム上でやり取りされる課金については年齢制限を設けたり、個人信用調査を入れるなどの対応が求められるのではないかという問題提起もされました。
ゲーム産業の隆盛とともに歩まれた約30年の貴重な経験と未来予測を聞ける講演となりました。


15:00〜16:00
「ローカルヒーローの役割」
講師:石井龍太武蔵大学人文学部教授

1998年に武蔵高校を卒業され、東京大学進学・卒業後同大学院で博士号を修得される一方、時には自らローカルヒーローの仮面を被り、衣装を纏うこともある異色の石井人文学部教授によるローカルヒーローの歴史と意義の講演でした。
講演は、日本的なヒーローは1966年から1975年にかけて誕生したウルトラマン、仮面ライダー、ゴレンジャーの3つのヒーローにルーツがあり、これ以降はこのイノベーションの派生であり、現在に至るまでは新たなヒーローは誕生していないとのお話しでスタートしました。
日本にローカルヒーローは600例ほどあるが、実活動しているのは250〜300例にとどまっている一方、ゆるキャラは全国で5,000例ほどもあるそうです。ローカルヒーローとゆるキャラとの違いは体形(演者との体格差の大小)や外見(柔らかさや可愛さに対して力強さや精悍さ)には留まっていないとのこと。
ローカルヒーローは1970年代後半に初めて登場。1980年代には自主製作映画やコスプレなどを手掛けて社会的認知が広がり、2000年代になると「不出来な」「笑える」ヒーローが生まれ、近年では商業化が進み、趣味から仕事として専業化が進んでいるそうです。
一部の人々による趣味からスタートしたローカルヒーローではありますが、課題として、活動を維持していくのに多額の経費が必要であり、戦う敵キャラの人手不足から戦わないヒーローやテーマ性が希薄なヒーローのソロ活動が増加しています。
特に2020年からのコロナ禍において、地域催事やステージショーの自粛、握手会・応援スタイルの制限を受け、従来からの活動が困難となってきた一方、手洗いの啓蒙活動やマスクの配布、在宅活動への支援等やコロナ禍での活動を積極的に行う事例などがあります。
大学の教育の場においてもゼミ等においてローカルヒーローを活動展開する手段としてヒーローを登用しています。石井教授の研究活動の中では、学生主導によりオリジナルヒーローを創造するほか、コスチュームや仮面、装備を手作り作製して装着、キャラクターになりきって演ずるなどの活動を紹介していただきました。
講演会当日も、ローカルヒーローの製作現場から駆け付けていただくなど、ローカルヒーローをこよなく愛する石井教授でした。

(報告者:関谷文隆 30回経営)

※平成30年12月以前の開催報告は、旧サイトでご確認下さい。