開催報告
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第35回生涯学習講座
| 開催日時 | 2025年10月25日(土)13:30~16:00 |
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| 開催場所 | 武蔵大学3号館3204教室 |
| 内容詳細 | テーマ:「4000年の眠りから覚めた縄文ドングリ」 |
樹木医 石井誠治さん(22回社会)をお迎えして「4000年の眠りから覚めた縄文ドングリ」をテーマに樹木と人間の関わりについて幅広くお話しいただきました。あわせて、近年社会問題となっているクマ出没の背景や、季節の樹木の観察についても解説をいただきました。
佐賀・坂ノ下遺跡の貯蔵穴から約4000年前のドングリが出土しました。縄文人が食料用として貯蔵していたどんぐりが何等かの理由により放棄され現代まで埋まっていたものが発掘されたものです。それが発芽し、現在も樹木として育っているという珍しい事例の紹介です。発掘に携わった植物好きの方が100粒ほどどんぐりを分けてもらい家で水洗いして瓶で保管していたところ、しばらくすると2粒発芽していたということです。粘土層の低酸素環境が奇跡的に保存条件を整えたことが現代での発芽を可能にしました。佐賀大学の農学部に持ち込まれそこで育てられたものが今では大きなアラカシの木になっています。日本の湿潤な環境が世界でも例を見ない特殊な事例を生み出したということが紹介されました。「一本の木が4000年前の生活と現代をつなぐ」という言葉に象徴されるように、大きな驚きと大変興味深いものがありました。
近年社会問題となっているクマの出没についても背景を丁寧に解説してくださいました。ミズナラやコナラの減少によるドングリ不足、猟師の高齢化により人への警戒心の低下など複数の要因が重なり現在の深刻な状況が生じているとの説明でした。報道では触れられない生態・資源・社会構造の連動性を知ることができ、理解が大きく深まりました。警察官の拳銃ではクマをしとめることは難しい。手負いのクマは人間に復讐を企てるので猟友会等による駆除が必要とのこと興味深いお話をいただきました。
さらに、キンモクセイの開花時期の変動、シイやクリの堅果の特徴、外来昆虫による樹木被害など、身近な樹木の生態についてもお話しいただきました。今年のキンモクセイが例年より遅れて開花した理由や、シイの実がそのまま食べられることなど、日常の風景に新しい視点を得られる話題が数多くありました。キンモクセイは一定の気温低下を合図に花芽が動き出しますが、今年は盛夏の高温が長く続いたため、この生理的スイッチが入りにくく、結果として開花が10月下旬へずれ込んだということです。
本講座を通じて、縄文時代から続く自然資源との向き合い方や、人間活動が生態系に及ぼす影響をあらためて考える機会となりました。専門的な内容でありながら、石井さんのわかりやすい語り口により、自然と歴史の奥深さを楽しく学ぶことができた講座でした。
(報告者:伊藤正晴 38回社会)
前半
https://drive.google.com/file/d/1RhLCq4BiHikKFnr-z943emK4_3AuKuj-/view?usp=sharing
後半
https://drive.google.com/file/d/1zleFusAs2_CEnonXOsgNwu2nxchxhgbE/view?usp=sharing
※平成30年12月以前の開催報告は、旧サイトでご確認下さい。


