開催報告
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第60回土曜講座
開催日時 | 2021年11月20日(土)14:00~16:00 |
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開催場所 | 武蔵大学1号館1階 1101教室 |
内容詳細 | 講演題目:日本アニメ誕生 講 師:豊田 有恒(12回経済) 島根県立大学名誉教授 SF作家 推理作家 翻訳家 脚本家 評論家 |
アニメ界の重鎮である豊田有恒氏をお迎えし、オンラインとのハイブリッド講座で開催しました。
先ずは、お名前の読みですが、本名が「トヨダアリツネ」で、ペンネームが「トヨタアリツネ」だそうです。
武蔵高校卒業時、東京大学医学部と慶応大学医学部を受験され二校とも合格。東大への印象が悪く慶応大学医学部に進学されたものの中退。そこに高校の恩師から大学は卒業した方がいいと諭され武蔵大学に入学したとのことでした。大学受験は落ちたことがないと豪語された一方、後程話が出ます就職活動は出版社等、何社か受験するも全敗であったと楽しそうにお話をされていました。
武蔵大学在学中、その頃に創刊されたSFマガジンに触発され平井和正原作アニメ「エイトマン」で脚本家デビューを果たされました。SF同人誌で手塚治虫氏と運命の出会いをされたのも在学中とのことです。
当時、アニメはまだ世間の認知度が低く、就職活動も苦労の連続、しかし「エイトマン」の手腕を認められていた手塚治虫氏からお誘いがあり、虫プロダクションに入社することになりました。当時の大学卒の初任給は2万円くらいが相場だったところ、虫プロの給料は6万円を超えていたとのことでした。
「鉄腕アトム」の後半期の脚本を任されましたが、当時は視聴率が高かったプロ野球放送に対抗する為、連日徹夜でブレインストーミングを開き、時には殴り合いもあるような熱い議論の中で、その「鉄腕アトム」は描かれていきました。スポンサーへの配慮、動物愛護団体とのエピソード、そしてお蔵入りの秘話も披露されました。
アニメ草創期は、「鉄腕アトム」「鉄人28号」「エイトマン」とロボットの時代。「ジャングル大帝」のシナリオを最後に虫プロを退職した後、「スーパージェッター」「宇宙少年ソラン」を手掛け「宇宙戦艦ヤマト」の原案、設定にも携わられました。一緒に仕事をした西崎義展氏が武蔵高校の同窓でもあったことから「宇宙戦艦ムサシ」を主張されたという裏話もありました。
日本アニメが世界をリードしている今、パソコン、インターネット等の道具がない時代に、全て手書きとブレインストーミングで時間をかけて創っていたアニメの原点を、継承活動していくことが使命だと東奔西走している。それが偉大な尊敬する手塚先生への恩返しだとも語っておられました。
翌日も名古屋で同じテーマで講演すると話されていた83歳の豊田氏のバイタリティーと忌憚なくお話しされるお人柄に敬服すると同時に、誇らしい先輩がまたお一人増えたと思ったのは当日聴講した私だけでないと感じました。
(報告者:梶尾 強 27回経営)
※平成30年12月以前の開催報告は、旧サイトでご確認下さい。