第56回土曜講座

開催日時2018年11月10日(土)14:00~16:00
開催場所武蔵大学8号館7階8702教室
内容詳細【第一部】14:10~15:00
講演題目:「世界一愛されるタワー」を目指して
講 師:東武タワースカイツリー株式会社
    代表取締役社長 酒見 重範

【第二部】15:10~16:00
講演題目:人工知能の社会・経済に与えるインパクト
-新たな産業の成長に伴う様々な社会問題の可能性
講師:田中健太(経済学部准教授)


【第一部】「世界一愛されるタワー」を目指して

酒見氏は昭和53年武蔵大学経済学部 経営学科を卒業され東武鉄道に入社。その後、東武ホテルマネジメントの社長を経て、平成27年から東武タワースカイツリー株式会社の代表取締役社長に就任されている。
講演は平成24年5月に開業するまでの経緯からスタート。「場所が業平橋・押上地区に決定した経緯」や「高さが634mに決定した経緯」もご紹介頂いた。高さは当初は約610mで計画されていたが、「高さ世界一」を目指して、最終的に634mに決定したとのこと。自立式電波塔としては世界一の高さである。
デザインは伝統的な日本の建築などに見られる「そり」と「むくり」を取り入れ、ライティングは「粋」「雅」「幟(のぼり)」の三種類と特別ライティングも実施。また、大容量タイプとして国内最速のエレベーターの内部は【春】【夏】【秋】【冬】と日本の季節をイメージした内装を凝らしている。
Sky Restaurant 634(musashi)は、酒見氏が東武ホテル時代に手がけ、オープンにあたり、ミシュラン1つ星のシェフを招聘。有名人にも愛用されているという。眼下に花火を楽しめる”という墨田川の花火大会の日は、抽選で900名に対し50倍の人気だというのも頷けた。
開業以来の入場者は平成30年1月で3000万人を越えたとのことだが、引き続き入場者確保にいろいろ営業努力をされており、その筆頭が「インバウンド営業」の強化。海外へのご出張も多いとのこと。海外旅行博(台湾・タイ・香港・上海・シドニー・ロシア等)へも参加しており、外国人個人来場者比率は平成25年度の“6.8%”から平成29年度は“22.4%”へ延びている。スカイツリーの開業以来、東武グループの業績も大変伸びているとのこと。
当日は200人を超える聴衆で会場が埋まったが、酒見氏が「世界一愛されるタワー」を目指して日々戦略を練られご活躍されている様子を知ることが出来、同窓生として大変嬉しく誇らしかった。

(報告者: 倉地達也 26回経済)

【第二部】人工知能の社会・経済に与えるインパクト
-新たな産業の成長に伴う様々な社会問題の可能性

第二部は、本学経済学部の田中健太准教授による「人工知能の社会・経済に与えるインパクト-新たな産業の成長に伴う様々な社会問題の可能性」と題した講演が行われた。
余談ではあるが、田中准教授は私の大学同期であり、彼が本学で教鞭を取るようになって初めて彼の講義を受けるため、個人的にもとても楽しみにしていた。
さて、講演では、人工知能いわゆるAIとは何か、そしてAIの活用事例について、それぞれ説明がなされた。その活用事例の一つとして、第一部のスカイツリーに関する講演との関連ということで、観光業におけるAIの活用可能性について提示された。既に一部のホテルや観光案内として活用事例が見られる他、インバウンド増加による来日客への多言語対応など、AIの活用(共存)により、サービスの品質を上げることにもつながると言えるだろう。
また、講演の後半では、AIが普及することによる社会問題として、①労働問題、②法的・倫理的な問題、③新たな技術導入による問題、この3つを取り上げ、それぞれについて、解説がなされた。
私としては、その中から労働問題として、よく言われているAIの普及により、働き口がなくなるのではないかという問題が気になった。講義を聞いて分かったこととしては、根拠のない憶測もある一方で、賃金や規制などでAIによる代替となるかあるいは補完となるかでその問題への対応方法も変わってくるということだ。法整備や技術面でのさらなる進歩が日本に必要であることも分かった。
AI自体は昔からあるものであるが、急速に高度化してきている今こそ、AIとどのように接するかを考えるべき時であることが、この講演を通じて感じたことである。
講演後や懇親会で田中准教授に質問している場面が多く見られたので、聴講者の皆様におかれても、とても関心を持たれた内容になったものと思われる。

(報告者:間所達郎 55回社会)

※平成30年12月以前の開催報告は、旧サイトでご確認下さい。